
洋楽ロックで売れた名盤を探すなら、RIAAとBPIの認定から攻めるのが最強説
音楽に限らず、まずあらゆることの入り口としてその道のトップを知ることは最も有効な手段だ。良い音楽の指標としてセールス(現代ではストリーミング再生数も含む)は、最もわかりやすい指標と言える。
多くの人が自分の世代以前の名盤は意外と名前は知っているのに聞かず嫌いしてしまっているものが多い。特に洋楽、さらにロック系に絞ったカテゴリーにおいて、セールス的にめちゃくちゃ売れた過去の名盤なんかも知らなかったりする。
Led Zeppelin IV(3700万枚)、AC/DCのBack in Black(2500万枚)、Pink FloydのThe Dark Side of the Moon(4500万枚)…
これらの驚異的なセールス数字を見ると、まだまだ知らない名盤がたくさんあることに気づかされる。
この記事では、そんな最もセールス的な指標で信頼できるRIAAやBPIの認定からディグって、過去から現代に至るまでの洋楽ロックの名盤を紹介していく。
- 1. RIAAやBPI指標とは?
- 2. RIAA認定とは
- 3. BPI認定とは
- 4. RIAAやBPI指標を活用する時の注意点
- 5. 洋楽ロックの超定番! RIAAダイアモンド認定のアルバム作品
- 5-1. Eagles – Their Greatest Hits (1971-1975)
- 5-2. Led Zeppelin – Led Zeppelin IV
- 5-3. AC/DC – Back in Black
- 5-4. Pink Floyd – The Wall
- 5-5. Green Day – Dookie
- 5-6. Guns N’ Roses – Appetite for Destruction
- 5-7. Metallica – Metallica (The Black Album)
- 5-8. Def Leppard – Hysteria
- 5-9. Linkin Park – Hybrid Theory
- 5-10. Nirvana – Nevermind
- 5-11. The Smashing Pumpkins – Mellon Collie and the Infinite Sadness
- 5-12. Nickelback – All the Right Reasons
- 6. BPI×10プラチナ認定のロック作品
- 7. セールス指標で音楽をディグる究極のメリット
RIAAやBPI指標とは?

アメリカの音楽業界団体で、1952年に設立された。本拠地はワシントンD.C.にあり、主にアメリカ国内の音楽売上を認定している。世界最大の音楽市場であるアメリカの指標だけに、その認定は世界的な影響力を持つ。
イギリスの音楽業界団体で、1973年に設立された。本拠地はロンドンにあり、イギリス国内の音楽売上を認定している。ビートルズやローリング・ストーンズなど、ロック史に名を刻むアーティストを輩出した国だけに、ロックファンにとっては外せない指標だ。
世界全体では、IFPI(International Federation of the Phonographic Industry)が各国の音楽業界団体を統括している。
日本では日本レコード協会(RIAJ)がRIAAやBPIと同様の役割を果たしているが、こと洋楽ロックセールスという観点においては日本国内での売上に限定するため、世界的な洋楽の評価には直接的には参考にならない場合が多い。
各国で認定基準が違うのは、市場規模や音楽消費の文化的背景が異なるためだ。
だからこそ洋楽ロックをディグる際は、RIAAとBPIの認定を基準にするのが最も効果的であるといえるだろう。
| 団体 | 活動範囲 | 販売実績の評価方法 |
|---|---|---|
| RIAA | アメリカ国内 | 認定制度 (4段階) 、特定の販売枚数(ストリーミング含む)で公式な称号を付与。 |
| BPI | イギリス国内 | 認定制度 (4段階) 、特定の販売枚数(ストリーミング含む)で公式な称号を付与。 |
| RIAJ | 日本国内 | 認定制度 (3段階) 、特定の販売枚数(パッケージ販売、有料配信)で公式な称号を付与。 |
| IFPI | 世界規模 | グローバルランキング。認定制度(特定の枚数で称号を付与するシステム)は持たない。 |
RIAA認定とは
RIAA認定は、アメリカ国内での売上実績に基づいて音楽作品を認定するシステム。
認定基準は以下の通り:1ユニットあたり
- 1アルバム販売 / ダウンロード
- 10トラックのダウンロード
- 3,750回 (有料オーディオオンデマンドストリーム)
- 6,000回 (無料オーディオオンデマンドストリームまたは公式ビデオストリーム)
| 認定レベル | ユニット | 備考 |
|---|---|---|
| ゴールド | 50万 | |
| プラチナ | 100万 | |
| マルチ・プラチナ | 200万以上 | 例: 2xプラチナ = 200万 3xプラチナ = 300万 |
| ダイアモンド | 1000万 |
2016年からストリーミング再生も認定基準に含まれるようになったが、従来の売上と比べるとかなり厳しい基準になっている。これは音楽消費の変化を反映しつつも、過去の偉大な作品の価値を保護する意味もある。
BPI認定とは
BPI認定は、イギリス国内での売上実績に基づく認定システムだ。
認定基準は以下の通り:1ユニット(AEU)あたり
- 1アルバム販売 / ダウンロード
- 10トラックのダウンロード
- 1,250回(有料(プレミアム)ストリーム)
- 6,000回(無料(広告付き)ストリーム)
| 認定レベル | ユニット | 備考 |
|---|---|---|
| シルバー | 6万 | |
| ゴールド | 10万 | |
| プラチナ | 30万 | |
| マルチ・プラチナ | 60万以上 | 例: 2xプラチナ = 200万 3xプラチナ = 300万 |
BPIの特徴は、アメリカより人口が少ない分、認定基準が低めに設定されていることだ。しかし、だからといって価値が低いわけではない。むしろ、イギリスの音楽文化の深さを考えると、BPI認定は非常に価値のある指標と言える。
RIAAやBPI指標を活用する時の注意点

リリースからの年月経過した作品が強い
累計指数で評価されるため、長年にわたって愛され続けた作品ほど高い認定を受けやすい。
Led ZeppelinやPink Floydなどの作品が今でも高い認定を維持しているのはこのためだ。
近年の作品はダイアモンド認定が困難
音楽消費のデジタル化により、CDやレコードの売上が減少している。
ストリーミング再生も考慮されているが、従来の売上と比べるとポイントが低いため、近年の商業的成功作品でもダイアモンド認定を受けるのは困難になっている。
2010年以前の名盤ディグに最適
新世代の商業的成功アーティストをディグるというよりは、CDやレコード時代(2010年以前)の商業的ヒットした名盤をディグるのに最適なシステムだ。
つまり、「本当に売れた名盤」を発掘するための最強ツールということになる。
洋楽ロックの超定番! RIAAダイアモンド認定のアルバム作品
それでは、アメリカにおける商業的超大ヒットといえるRIAAダイアモンド認定(アルバム1000万枚セールス換算)をうけたロックの名盤アルバムを厳選して紹介していこう。
Eagles – Their Greatest Hits (1971-1975)
- リリース年: 1976年
- ジャンル: ロック/カントリーロック
- 認定: 38×プラチナ(3800万枚相当)
イーグルスのベスト盤は、RIAA史上最も売れたアルバムの一つ。”Hotel California”や”Take It Easy”など、誰もが知る名曲が詰まっている。
Led Zeppelin – Led Zeppelin IV
- リリース年: 1971年
- ジャンル: ハードロック/ヘヴィメタル
- 認定: 37×プラチナ(3700万枚相当)
“Stairway to Heaven”を収録した不朽の名作。ハードロックの金字塔とも言える作品で、ロック史上最重要アルバムの一つ。
AC/DC – Back in Black
- リリース年: 1980年
- ジャンル: ハードロック/ヘヴィメタル
- 認定: 25×プラチナ(2500万枚相当)
ボン・スコットの死後、ブライアン・ジョンソンを迎えて制作された傑作。ハードロックの教科書的な1枚。
Pink Floyd – The Wall
- リリース年: 1979年
- ジャンル: プログレッシブロック
- 認定: 23×プラチナ(2300万枚相当)
コンセプトアルバムの傑作。映画化もされた壮大な物語性と音楽性が融合した、プログレロックの金字塔。
Green Day – Dookie
- リリース年: 1994年
- ジャンル: パンクロック/ポップパンク
- 認定: 20xプラチナ (2000万枚相当)
パンクロックをメインストリームに押し上げた代表作。”Basket Case”などがヒット。
Guns N’ Roses – Appetite for Destruction
- リリース年: 1987年
- ジャンル: グラムメタル/L.A.メタル
- 認定: 18×プラチナ(1800万枚相当)
80年代ハードロックシーンを代表する1枚。”Sweet Child O’ Mine”や”Welcome to the Jungle”など名曲ぞろい。
Metallica – Metallica (The Black Album)
- リリース年: 1991年
- ジャンル: スラッシュメタル
- 認定: 16×プラチナ(1600万枚相当)
メタリカの商業的な大成功作。”Enter Sandman”や”Nothing Else Matters”など、メタルを超えた普遍的な楽曲が収録。
Def Leppard – Hysteria
- リリース年: 1987年
- ジャンル: NWOBHM/グラムメタル
- 認定: 12xプラチナ (1200万枚相当)
7枚ものヒットシングルを生み出した、綿密にプロデュースされた大作。
Linkin Park – Hybrid Theory
- リリース年: 2000年
- ジャンル:ニューメタル/ラップメタル
- 認定: 12xプラチナ (1200万枚相当)
2000年代のロックシーンを牽引したバンドのデビューアルバム。
Nirvana – Nevermind
- リリース年: 1991年
- ジャンル: グランジ/オルタナティブ・ロック
- 認定: 10xプラチナ (1000万枚相当)
90年代の音楽シーンに革命をもたらしたオルタナティブロックの金字塔。
The Smashing Pumpkins – Mellon Collie and the Infinite Sadness
- リリース年: 1995年
- ジャンル: オルタナティブロック
- 認定: 10xプラチナ (1000万枚相当)
90年代を代表するオルタナティブロックバンドの2枚組大作。壮大なスケールと多様なサウンドが特徴。
Nickelback – All the Right Reasons
- リリース年: 2005年
- ジャンル: ポスト・グランジ/オルタナティブ・ロック
- 認定: 10xプラチナ (1000万枚相当)
数々のヒットシングルを生み出し、2000年代を代表するロックアルバムの一つとなった。
BPI×10プラチナ認定のロック作品
続いて、イギリスにおける商業的超大ヒットといえるBPIダイアモンド認定(厳密にはBPIではダイアモンド認定は無いので×10プラチナ=アルバム300万枚セールス換算)をうけたロックの名盤アルバムを厳選して紹介していこう。
Queen – Greatest Hits
- リリース年: 1981年
- ジャンル: アリーナロック
- 認定: 25×プラチナ(750万枚相当)
イギリスで最も売れたアルバムの一つ。”Bohemian Rhapsody”から”We Are the Champions”まで、クイーンの名曲が詰まった決定版。
Pink Floyd – The Dark Side of the Moon
- リリース年: 1973年
- ジャンル: プログレッシブロック
- 認定: 14×プラチナ(420万枚相当)
プログレロックの最高傑作の一つ。アルバム全体が一つの物語として構成された、音楽史に残る名盤。
Oasis – (What’s the Story) Morning Glory?
- リリース年: 1995年
- ジャンル: ブリットポップ/オルタナティブ・ロック
- 認定: 14×プラチナ(420万枚相当)
90年代ブリットポップを代表する1枚。”Wonderwall”や”Don’t Look Back in Anger”など、世代を超えて愛される楽曲を収録。
Coldplay – A Rush of Blood to the Head
- リリース年: 2002年
- ジャンル: オルタナティブロック/UKロック
- 認定: 10xプラチナ (300万枚相当)
“Clocks”、”The Scientist”などのヒット曲を収録した、コールドプレイを代表するアルバム。
Coldplay – X&Y
- リリース年: 2005年
- ジャンル: オルタナティブロック/UKロック
- 認定: 10xプラチナ (300万枚相当)
壮大なサウンドスケープが特徴で、世界中で大ヒットを記録。
セールス指標で音楽をディグる究極のメリット

RIAAやBPIの認定を基準にした音楽のディグりは、単なる数字の追求ではない。これらの認定を受けた作品は、長年にわたって多くの人々に愛され続けてきた証拠なんだ。
商業的な成功は、必ずしも芸術的な価値と直結するわけではないが、少なくとも「多くの人の心を掴んだ」という事実は間違いない。特にロック音楽において、時代を超えて愛される作品には必ず理由がある。革新的なサウンド、印象的なメロディー、時代を映した歌詞、完璧なプロダクション…そのどれか、または全てが優れているからこそ、多くの人に支持され続けているんだ。
また、これらの指標を使うことで、自分の音楽的な偏見や先入観を排除できる。「このバンドは好きじゃない」と思っていても、実際に聞いてみると意外な発見があったりする。セールス数字は嘘をつかない。多くの人が支持した理由が必ずあるはずだ。
さらに、これらの名盤から派生して、同時代のアーティストや影響を受けたバンドへとディグりを広げていくことも可能だ。Led Zeppelinが好きになったら、同時代のDeep PurpleやBlack Sabbathへ。Oasisに魅力を感じたら、同じブリットポップのBlurやPulpへ。そうやって音楽の世界は無限に広がっていく。
最後に、このサイト内で紹介しているアルバム作品ページには、作品ごとにRIAA、BPI認定をタグ付け分類をしている。年代やジャンル等のソート機能でより細かい条件を絞ることで、あなたの好みや求める音楽に近づくこと、または思いもよらない新しい発見といった”音楽をディグる”ことを全力でサポートしている。
今回紹介したセールス指標という客観的なデータと、音楽的な深さを両立させた究極のディグり体験を、ぜひ楽しんでもらいたい。





